谷茶梟

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逃れられない呪縛
(宝石の国二次創作)
あの日の僕は、呪いなんて言葉も知らず無垢だった。強くならなければ。その想いが心も身体も蝕んでいくのに、気付きもしなかった。
『誰のために強くなるの?』
心の奥底のそんな疑問も、聞かないフリをした。
『僕の願いは、なに?』
願いや祈りなんて言葉、いつしか忘れていた。
『僕はーー』
俺は、ただ誰も拐われないように。二人に託された国を守るために。剣を握りしめていた。責任が逃れられない呪縛のように、腕に心に絡んでいた。身動きが取れなくなっても、その呪いに気付かずにいたんだ。

5/23/2023, 10:57:38 AM