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昔から根暗な性分だった。
人と関わろうとしても上手くいかなかった。
そんなまま幼稚園を卒園し小学校へ上がった。
教室の自席に座って辺りを見渡すと幼稚園時代の顔見知りもポツポツいた。
話す友達もいないので周りを見渡していると他の人から一際注目を集めている子がいた。
見るからに明るそうで容姿端麗できっと性格もいいのだろう。
こんな人が私たちの世代を引っぱっていく人になるんだろうなと思ってその子をずっと見続けていると流石に視線に気付いたのか、こちらを向いた。
慌てて視線を伏せても時既に遅し。
ああ、初日から私はクラスカースト最下位に転落するのか、まだ二週間は先だと思っていたのに。と心の中でつぶやいた。
しかし私の想像とは裏腹になんとその子は私に声をかけてくれた。
「そんなとこで何してるの?こっちおいでよ!」
そう笑顔で言ってくる君が天使か何かにその時は見えた。
その日から私の人生は一変した。
その子、私の友達第一号の名前は空野雲母と言った。
とにかく明るく面倒見が良くてまるで太陽に思えた。
雲母と一緒にいるとみんなが私に話しかけてくれる。
友達も沢山増えて、楽しい事を謳歌できた。
何よりも雲母と一緒にいると楽しかった。
そうして時を経て、私たちは社会人になった。
ある日、たまたま雲母が予定があったので家で1人、本を読んでいると平塚らいてうのこんな言葉が目に映った。
「昔、女性は太陽であった。」意味は全然違うけど、私の心をガッと掴んだ。
このまま雲母に頼っていていいのだろうか。
いつまで私は月なのか。
そう決心付くと近くにあったパスポートを取り、
雲母に電話した。
「もしもし」
「もしもしどうかしたの?」
「実わね、私海外に一年行こうと思うんだ。」
「えっ!そうなの!どうして?」
「私、コミュニケーション能力が全然ないからアメリカで鍛えてもらおうと思って。」
「そっか。じゃあ定期的に電話しようね。また来年会おう。」
そうして私はアメリカへ旅立った。
私が雲母のように誰かを照らせるような太陽になるために。
お題太陽
ここまで読んで頂きありがとうございます。

8/6/2024, 11:47:05 PM