キミがいたから
石畳の上を、彼女はスキップで駆け抜けた。
添えられる鼻歌は、僕の作った曲だ。
「今回も素敵なメロディーだね」
歌詞は君がつける。
そうして出来上がった歌を、一つ一つ積み重ねていく。
ある夏。
「私ね、遠くへ行くの」
療養をしに、空気の綺麗なところへ。
僕のボロボロの服とは正反対で、真っ白く綺麗な服の彼女は寂しそうに笑う。
「そうか」
僕はそれしか言えなかった。
さよならさえも言えずに。
それからの僕の曲は、未完成なままだ。
自分で歌詞をつけてみようと思ったけれど、どれも上手くいかない。
あぁ、そっか。
僕の曲が歌になれていたのは、
キミがいたからだったんだね
_No.5 歌
5/24/2025, 4:02:13 PM