強い風が吹いた。
薄い桃色が視界を埋めるほど舞い、踊る。
その瞬間。
4月から通う地元の高校の門を、スケボーに乗りながら出てきた人。
すっと伸びた体躯、意志の強そうな輝きの大きな瞳、ミルクティー色をした短髪。
その全てが花びらとともに私の視界に流れた。
なんて、きれいな。
壊れたごとく瞬きさえ出来ずにただただ見つめる私の横を、つむじ風のように薄桃色の中を通り過ぎたその人を。
あの、全身の血液が熱くなる感覚を。
わたしは今でも鮮明におぼえている。
「胸の鼓動」
9/8/2023, 10:01:29 PM