夜兎

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あなたがいた時は鮮やかだった世界。
けれど、あなたが消えたあの日すべては姿を変えた。
モノクロの闇が迫り、全てを飲み込んでいく。

「________助けてっ……!」

声にならない声を上げ彼方の光に手を伸ばす。
その瞬間、意識が引き戻される。
悪夢に魘され、目覚めるのは何度目だろう。

彼は、もう居ないのに。
あなたの最後の笑顔が瞼の裏に焼き付き
あの日の記憶が忘れさせてはくれない。
それなのに、変わらず朝は来る

いたましい記憶は風化せず
絶望が精神を苛み、心が擦り切れていく。

_____もう、疲れた。
生きている事も、あなたが居ない現実も。

「清孝_____あなたのもとに行ってもいい?」

掠れた声が、暗い部屋にポツリと落ちた。



#モノクロ

9/29/2025, 11:16:35 AM