初心者が集まる音楽講習会で一人一人の作品を品評する時間になった。毎回、この時間は酷評されてばかりで嫌になる。いつもと違う講師も来ていたが、期待はしていなかった。
「この曲を作ったのは、誰ですか」
遂に私の番が来た。もう腹をくくるしかない。
「私です……」
「君の奏でる音楽は酷く歪だ」
この人もか。そう思い、手元の歌詞カードに目を移す。
「しかし、この講習会の中の誰よりも音を楽しんでいる」
ざわめきが広がる。さっきまで仏頂面だったその講師が笑いながら言ったのだから、そうなるのも当然だろう。けれど、私はそれどころではなかった。
「君の今後を期待してるよ」
8/12/2024, 11:02:32 AM