放浪カモメ

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秘密の友達がいた。
親にも、学校の友達にも、先生にも。
いつも近くで僕を支えてくれていた。
夜、布団の中で他愛もない話をした。
深刻な相談をすることもあった。
深刻な、と言っても、後から思い返してみれば些末なことだ。
とにかく、何でも話せるのはその子だけだった。

親友ができた。
今となってはなんで仲良くなったのかも曖昧だ。
ただ、こいつになら自分の弱いところも情けないところも全てさらけ出せると思った。


「さて、僕はもう行くとするよ。元気でね」

最後にその子に会ったのはいつのことだったか思い出せない。


/「友達の思い出」

7/6/2023, 1:40:09 PM