雛朶

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今年の夏は溶けそうなくらい暑かった。
地球温暖化で日本、いや世界中が暑さにやられていた。

小柄で顔が整った女性がいた。大きなビルの中の角で彼女は美容師として働いていた。そこそこの人気があり、女性も、高齢者も誰一人例外なくお店に来店していた。
そこの店員の1人が小柄で整った顔の女性なのだ。
名前は 天内 柚葉 美容院で働く22歳
楽しく働いていくごく普通の女性、だと思われている。
だが彼女には誰にも言えない秘密がある。
それは、万引き。
誰もが知ってる万引きだ。
コンビニで食べ物を大量に盗み、それを食べて、食べて、食べ続けて、胃が苦しくなるまで食べ続けて、苦しくなって、もう胃に入らない所まできたら吐く。
これを5ヶ月柚葉は続けていた。
5ヶ月たった頃には顔がぐったりしており、何度も何度も吐き続ける事で、胃酸で歯が溶け始めた。
その状態でも美容院にはしっかり出勤し、仕事をした。
でも周りからは心配の声と彼女への恐怖が混ざりあっていた。彼女の見た目はボロボロのホームレスのようで、生きているのか判断がつかないほどだった。
その状態だとお客さんも怖がり予約がどんどん減っていっていた。この状況はいけないと思った店長は彼女に休みを取らせた。
休みを取らされた柚葉は何もする事がなく、ただただ万引きを繰り返していた。そして吐く行為を繰り返し、歯はボロボロ、遂に栄養失調で倒れてしまった。柚葉は一人暮らしなので誰も助けてくれる人は居ない。
そんな中で柚葉はボロボロの歯を剥き出しにして、ぐったりした顔を無理矢理上げて、笑みを作った。
そのまま彼女はボロボロの状態で死を迎えた。
その彼女を見つけたのは死亡してから約2週間後で、暑い中、2週間も放置してあった死体からは生魚が腐ったような臭いが彼女からしており、目は充血し、歯は何個か抜け落ち、髪もボサボサな状態だった。
そんな彼女に警察も躊躇し、親も居ない柚葉は葬式もして貰えず、ひとり、孤独に亡くなってしまったのだった。

7/14/2025, 1:44:47 PM