ぽとりと紅の花が落ちた。
美しかった花は落ちた瞬間に腐り、褪せた花びらを地面に散らしていく。
酷く醜い。咲き誇っていた花を愛でていたことも忘れて、顔を顰めた。
目を逸らして、咲き始めの花に視線を向ける。
これから美しく咲くであろう花。だがやがては地に落ちて、腐っていくのだろう。
また一つ花が落ちる。
咄嗟に手を伸ばした。手の中で花びらを散らすが、腐る様子はない。
地に視線を落としても、そこに落ちた花は一輪もなかった。
「どうして」
何故かそれが悲しくて、寂しくて、胸が苦しくなる。
思わず膝をつきかけた瞬間。
「何してんだ?」
訝しげな声と、肩に触れた熱。
感じた苦しさなど千々に消え、気づけば道の真ん中で立ち尽くしていた。
11/23/2025, 9:39:12 AM