眠井

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透明で小さな瓶の中に、さらさらとした青色の砂が入っているのだ。その青い海の中に、星々をあらわすかのような金色、ちかちか光る粒もいくらか混じっている。私は机に左側の頬を押し当てて、要するに突っ伏す形で、無気力にその星を眺めている。

色々なことを、ゆっくり忘れていく。
他愛もないことごとは、さらさらと無に帰していく。失っていることにも、気づかないうちに。
この小瓶は思い出を纏っているけど、なにかが決定的に失われている。

私は知らず知らずのうちになにかを失い、得て、少しずつ変容している。

他の人の中の私も、いつか消えていく。
濾過されて、濾過されて、思いもかけないかけらだけが残されるのかもしれない。
いっそ完全に綺麗さっぱり消えたい。ような気もする。

青い砂はうつくしいけど、小瓶ごとごみ箱に放り投げた。
残るのは、自分の息遣いだけ。

12/3/2024, 2:37:09 PM