テレビの中で、メダルを勝ち取ったオリンピック選手のヒーローインタビューが放映されている。
煌めきは、会場の目映い照明故か、栄光を掴んだ選手の瞳の輝きのせいか。
私は苦笑いしながら、テレビを消して仕事に出掛ける。
通勤中の地獄の満員電車に揉まれながら、朝のテレビのワンシーンを思い出す。
スポットライトを浴びる栄光の勝者の、裏は表に映し出されない。
勝者が歯を食い縛って続けた努力は美談として放映されるかもしれないが、その下で破れて去って行った敗者のことなんて、誰も見たくないだろう。
例えば某大会社の社長の、煌めく成功談やプライベートは誰もが気になるだろう。知りたいだろう。
だが、その大会社を支えている子会社の、社員の末端の末端、私のような派遣社員の。
満員電車に押し潰される私みたいな、十把一絡げみたいな有象無象のワンシーンなんて誰が知りたい。
煌めきとか都合のいいものだけ見て、その影とか見たくないよな、とか。
そんなネジくれたことばかり考える自分は、酷くやさぐれてると改めて実感した。
煌めきとその陰影とか、どうでもいいから、何も見ないで眠りたかったを
9/4/2024, 11:27:12 PM