しじま

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 紫陽花の花を見たことのある人は少ないだろう。

小指の先程の四つか五つの花弁、無数の白い雄蕊。

 咲く頃には皆見向きもせず、素通りしていく。

季節感のない『何時もの』を手に取り、四季が無くなったと騒ぎ立てる。

 些末なものに目が行かなくなって、白駒過隙。

 紫陽花の萼片が色褪せていくように老いさらばえるのだ。

 しかし、紫陽花は、来年も見事に花を咲かせるだろう。

お前らのことなど知ったことか、と言わんばかりに。

テーマ「岐路」

6/8/2023, 6:01:12 PM