たやは

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不完全な僕

不完全な僕、完全な君。
僕らはまるで鏡合わせ。いや、背中合わせかな。

小さい頃から比べられるのにいつも一緒にいた君。君にとって僕はどんな存在だったのかいつも考えていた。そんなこと考えなくても分かっているのにね。
僕らは双子だからいつも一緒で当たり前。
双子なのに君はいつも僕の少し前を歩いていた。そう、勉強でも運動でも、恋愛でも、なんでも僕は君には敵わない。でも、僕は君の背中を見て歩くのは嫌いではない
よ。君はどう?

あの時、君は逝ってしまった。
僕に背中を向けたまま走り去ってしまった。僕は1人残され不完全となった。
君がいないなら僕は完全となることはないけれど、君がいての僕だから仕方がないよね。僕は不完全のまま生きていく。

なのに。

君の姿をした何かが僕の目の前に静かに微笑んでいる。あれは何?
君であって、君でないもの。
君がアンドロイドとなって帰ってきたとしても…。それはもう君ではない。

そう、君がいなければ不完全な僕のまま。
それでいい。

8/31/2024, 11:56:33 AM