ラムセス

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きれいなものが好きだった。
北原白秋や宮沢賢治、中原中也の詩を読むと
思わず笑みが溢れる。
リズム感が好きだと言った。
言葉選びが素晴らしいと言った。
溢れる情景が私の喜びであり、
文章は今を生きる私と過去を生きたひとを引き合わせ
対話できる唯一の手段だった。
言葉の美しい調べと深い意味も、日本語の少し違うだけで顔を変えるところが大好きだった。
いとけない少女と煉瓦と花。
玻璃のグラスに深紅の葡萄酒。
薤露青の空の中で南十字に至る水。
いつから私は忘れていたんだろう。
ギクシャクした学校生活を過ごす半年前か。
それとも受験が終わった後からだろうか。
思い出せ、私を形作ったものを。
今の私を創ったすべてがそこにある。

11/23/2021, 10:50:54 AM