作り上げた物語の向こう側に、世界の向こう側に、作り手にさえ見えていない世界がある。あの主人公の幼く丸い額に、ふくとした頬に口づけて、微笑む母の姿もあるのだろうか。
しあわせに、どうかしあわせにと願いながら読み進める紙片の毎秒毎秒に心の細胞が死んでいってしまう気がする。悲しいお話でなくても泣ける物語もあるけど、あんまり心を動かしてしまうと痛いから。
バッドエンドの主人公のあとにおおきく背伸びをして進み出す人がたくさんいるんだろうと思う。なんだかんだ大丈夫なんだろうと思いながら最後にふっと死んでしまう終わりに、キスを落としていっそ閉じようと思う。
2/5/2024, 7:04:54 AM