uni。

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重だるい体を無理やり起こして、頭を振る。
寝過ぎてしまった。

ぐしゃりとシワのよった胸元を正し、はみ出た裾をしまう。いつの間にか脱ぎ捨てた靴を探し出してつっかけ、くすんだ鏡で寝癖をなんとか誤魔化した。


持ち物はとりあえず体ひとつだ。
時間が無いのだから、急がねば。
沢山の人が待っているのだから。

転ばないように靴を丁寧に履き直しながらドアに手をかけて、
しかし何故か開かないのだ。

「あれ?」
「すみませーん、誰かいませんかー」
「もしかして、なにか引っかかってるのかな」
「すみませーん」


『病室』

8/2/2023, 12:14:23 PM