《月に願いを》
「あぁ…何も浮かばねぇ…」
俺は夜の町をうろつきながら思考を巡らせていた。
というのも俺は作曲家をしていて楽曲提供などを主に活動している。
そして……深刻なネタ切れだった。
「次の曲はアイドルに提供でイメージはこうで、歌詞もだいたいのコンセプトがあるらしいし…」
「もうあと俺が作るだけ?!」
思わず大きめの声が出てしまった。周りの人からやばいやつみたいにチラチラ見られてしまった。
なんだか神にでも縋りたい気分になってきた。
ふと、空を見上げたら満月だった。
お月さまにでも願ってみるか。…なんだか俺の仕事と月って似てるような気もしてきた。月は太陽の光を受けて輝く。それに対し俺の作る歌がだれかに歌われることで歌が輝く。
「似てるようで似てないかもなぁ…」
そんなことを思いながら俺は月に願いを込めてみたのだった。
5/26/2024, 11:39:07 AM