ごめんねよりもありがとうって言いたいよねと、半田市で出会った神谷さんがそう語った時、私のたましいの一部がここにいたんだなと心の底から安らぎを覚えた。
わざわざ朝早く迎車して、新美南吉の養家まで案内してくれた彼女に、私はお菓子を渡したが、向こうは思わずつい謝りたくなったのか。謝罪を噛み殺して、ぎこちなくサンキューと返事をした。
ああそうか。私も決意した言葉に気持ちが揺らいで、自分にも相手にも世間にも頭を下げてしまう。
神谷さんは本当に自分を見ているようで、生まれ故郷を離れたら自身のゴーストに会えるのだなと感動に胸が躍ったり、別れに身を引き裂かれるような苦しみを味わったりとした。
(241208 ありがとう、ごめんね)
12/8/2024, 1:00:02 PM