るに

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黒猫はいつも
のらりくらり路地裏を歩いていた。
人間に散歩してもらってる犬らは
いつも吠えてくるから
人間がこない路地裏を歩く。
たまに河川を歩いたりするけど、
水が嫌いだから
ほんとにたまにしか行かない。
でもずっと同じ街はつまらない。
いつしか黒猫は
旅に出るようになった。
留まらずに歩き続け
疲れたら休憩。
人間が沢山居そうなところは避けて
また歩く。
少しした頃、
道端に喉が渇いて動けないという
大人しそうな野良犬を見つけた。
ついさっき水を飲んできた黒猫は
川まで案内した。
物知りな猫さん、ありがとう。
お礼に猫さんのお願いを聞いてあげるよ。
と、野良犬はいった。
ちょうど1匹で歩くのは
寂しいと思っていた黒猫は、
一緒に来てくれるように
頼もうとしたが、
野良犬はこの街を
離れたくなさそうだったので、
あと3日ほど滞在するので
この川で会って欲しいと頼んだ。
もちろん!としっぽを振りながら野良犬はいった。
1日目、
黒猫と野良犬は
近くの花畑へ行き
池の周りをぐるっと1周歩いた。
2日目、
黒猫と野良犬は
レストランへ行き
人間からおすそ分けをもらった。
もっと一緒にいたいと黒猫が思った3日目、
いつも通り川で待っていたが、
野良犬が来る気配はなかった。
心配になり
いつも野良犬が来る方向の道へ行ってみる。
そこには
カラスにしっぽを噛みちぎられ
虫の息の野良犬がいた。
ごめん…見送れ……そう…にないや……。
と野良犬が言った。
その言葉を最後に
野良犬の呼吸の音は聞こえなくなった。
黒猫は
"Good Midnight!"
と野良犬にいい、
野良犬を食べ始めた。
骨まで食べ尽くした後に
黒猫は1粒の涙を流した。
その涙の理由ははたして
悲しみからなのか、
それとも
一緒に旅に行ける
嬉しさからなのか。

10/10/2024, 11:48:19 AM