時計の針
カチリコチリと忙しなく動く細長い棒を指先一つで押し留める。
指先に伝わる振動に負けないように力を込めて押し留めた。
針を止めるなんてこんなに簡単なのに時間は漫然と、でも確実に進み続ける。大河のように、悠然と。
時が止まればいいのに。
消毒液の匂いが蔓延する小さな部屋の中の
小さな手。暖かさの通わない手を握ると幼い指先がピクリと動いた。
両手で温めるようにその小さな手を抱きしめると
、止められていた時間の針が、濁流に流されるように正しい時間を示す為に動き始めた。
時が止まればいいのに。
無常な現実が指先一つでは止められないとわかっていても。
2/6/2026, 10:31:11 PM