謎解きゲームに職場のメンバーで行くことになった。急な話だったから、一緒に住んでいる彼女にメッセージを送ろうとスマホを取り出す。
『ごめん。今日、職場のみんなと遊ぶことになったから遅くなるかも』
メッセージを送ると、そんなに時間をおかずに返事が返ってきた。
『分かりました。うちの職場でもそんな話が出たので遊びに行きますね。気をつけて行ってきてください』
最後の一言が嬉しくて顔がニヤついてしまう。俺も同じ気持ちだと伝えたくて、『そっちもね。楽しんで』と返事をした。
「おーい、行けそう?」
「問題ないー!」
声がかかったから、返事をする。誰かの車で行こうかなと思ったけれど、帰りが手間になるから、各々の車かバイクで移動することになった。
俺はバイクに跨って会場に向かう。会場はとあるお店。何度か謎解きゲームをした実績のあるお店だから、店に着くまでのワクワクが半端なかった。
店に着いてみんなで集まって受付をすると、後ろの方から聞き覚えのある声が耳に入った。
「あれぇ! 救急隊の人達やんかー!!」
振り返ると恋人の勤め先の社長さんと他にも……ってことは……。
少し背伸びして社長さんの後ろにいる人達を確認すると楽しそうに笑っている恋人の姿を発見した。
やっぱり!!
彼女も俺を見つけて驚いた顔をしていた。そして、周りが盛り上がっている中、自然に俺のそばへ来てくれる。
「謎解きに来たんですね」
「そう。なんか行きたいねーって盛り上がっちゃって……」
「私たちのところもですよ」
そう、小さく話していると、受付している謎解きのゲームマスターである店主が提案をする。
「この人数だし、チーム戦にしたらどうかしら?」
「面白そう!!」
「ほな、会社でチーム分けやな!」
会社ごとのチーム分けとなり、周りが楽しそうに盛り上がる中、俺たちはお互いをちらりと見つめる。
「はなればなれですね」
「今度、別の謎解きがあったら一緒に行こう」
「はい!!」
そして、彼女は俺に軽く手を振って職場のみんなの元へ戻って行った。
頑張るぞー……と意気込んだ後に気がついた。
俺は彼女と謎解きに行ったことがある。ぽやぽやして頭の回転が悪いように見えていて、そんなことはない彼女。あの時の謎解きを解いたのはほとんど彼女で……。
やばい!
知恵を捻り出さないと絶対に勝てないぞ!
今度は役に立つぞと自分を鼓舞して、チームメンバーの元へ戻った。
おわり
一八四、はなればなれ
11/16/2024, 12:02:27 PM