「おーい。おーい」
随分と前からあたまを抱え込み悩んでる前方に声を掛ける。
「んー」とか「あれ?」とか1人で呟くだけで相手にしてくれない。
「ねぇ、聞いてる?」
めげずに声を掛けるけど。
「うるさいなー!!邪魔しないでくれる?」
一喝されてしまった。
「さっきから何してんの?」
ひょいと覗くと手元には何やらダイヤルらしきもの。
俺がいるの無視して「微妙なんだよなー絶妙なさじ加減…このちょっとがさー」なんてブツブツ。
ねぇねぇねぇ。
俺がいるんだからさー!
「相手してよーー!!!」と目の前の背中に寄り掛かれば。
絶叫に近い悲鳴。
「なにしてくれてんのさー!!!」
なになに?うるさいよ。なに?
口をぱくぱくさせながら手元のダイヤルを勢いよく指してくる。
だからさー。
「それって何なのよ?」
「もーう!!お前のせいで秋すっ飛ばして冬までダイヤル回しちゃったじゃん!!!」
「……え?それってなに。所謂季節をどーとかする何かってやつ??」
「そーだよ!!お前何やってくれてんのさ!!」
「あっつい暑い季節乗り越えた人間に少しでも過ごしやすい気温に設定してたのに一気に冬まで回しちゃったじゃん!!どーしてくれんの!!」
「ほんとにほんとに合わせるの大変なんだからね!!!」
次々に文句を浴びせられてもね、、、
「じゃあダイヤル戻しちゃえば?」
「そんな簡単なもんじゃねーよばかー!!」
「まぁまぁ冬もそんな悪いもんじゃないよ。好きだなーとか思ってるやつともくっ付けたりすんじゃん??」
自分よりひとつ分小さな頭を撫でる。
「そんな悪いもんでもねぇよ寒いのも」
乗せた手を払われながらその手でひらひらと追い払われる。
「じゃあ早くお前の力でくっ付け合わせてこいよ、北風小僧」
「任せろ。とびきりのぬくもりを届けてくるよ」
にやりと返した。
そんな悪いもんでもねぇのよ寒いのも。
温もりの愛しさを感じさせてやってんの。
(冬へ)
11/17/2025, 3:44:33 PM