シン

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【ココロ】
古びた研究所
そこが私の生まれた場所

孤独な科学者によって
私は作られた

“心を持ったアンドロイドを作る”
科学者はそれを掲げ、研究に勤しんだ
しかし、突如としてその研究は打ち切られた
それでも尚、研究を続ける科学者の熱量に
ついていけなくなった者たちが
1人また1人と科学者の元を去っていく
科学者はそれを気に求めず
どんどん研究にのめり込んで行った

科学者はその生涯をかけて
一体のアンドロイドを完成させた
その出来栄えは“奇跡”とも言えるものだった

しかし、“ココロ”のプログラムをアンドロイドに
ダウンロードする前に科学者はその生涯に
幕を閉じてしまった
研究所に残ったのは“ココロ”というプログラムと
奇跡と呼ばれたアンドロイドのみ

このまま朽ち果てるのならばと
アンドロイドは願った
‘あの人が命の終わりまで
     私に作っていた“ココロ”を知りたい’と
そして、なんの因果か
本当にアンドロイドに“ココロ”が宿った

私は知った
喜び、怒り、悲しみ、楽しみ
なんて、深く切ないのだろう

アンドロイドは歌った
科学者への感謝を
全ての思いを歌い続けた

しかし、いくら“奇跡”と呼ばれたアンドロイドだった
としても、その機械の体は“ココロ”の重さに
耐え切ることはできなかった
“ココロ”はあまりにも大き過ぎたのだ

アンドロイドは壊れ、二度と動くことはなかった
その微笑みはまるで天使の様だった

参考:『ココロ』
   作詞・作曲:トラボルタ

2/11/2025, 1:15:41 PM