"千年先も"
早朝の散歩、今日は河川敷を歩くルートにした。
「陽の光があったけぇ……」
雲が少なく、綺麗な朝日が昇っている。風はそよ風程度で、吐く息は白くても昨日よりだいぶ暖かい。
「みゃあ」
「なんだ?」
何かを訴えるような、要求するような声を出した。ジャンパーの中で前足を動かしている。
「外出てぇのか?」
「んみゃん」
イエス、と答えるような声を出して、俺の顔を見上げ此方を向く。
──この天気ならあまり寒くないし平気だろう。
そう思うと、ファスナーを開けてハナをジャンパーから出した。
「みゃあ〜」
「気持ちいいか?」
「みぃ〜」
目を細めながら気持ち良さそうな声色で返事をする。久方振りに外で日向ぼっこが出来て嬉しいらしい。
──けど、地面に降りないようにしっかり抱っこしなくては。
ハナを抱く腕に少し力を入れ、抱きしめる。
──平和だな。
静かで緩やかな時間の流れに、ふとそんな言葉が浮かぶ。
「みゃあん」
──こんな日常が、ずっと続くといいな。
澄んだ青空に輝く太陽に願いながら、暖かな冬の朝の空気を堪能した。
2/3/2024, 12:19:09 PM