そのドアがゆっくり開く。
その瞬間…自分の鼻に通るのは『彼の匂い』だった。
「…朔の匂いする」
「ははっ…ようこそ?」
「はじめまして」
私の家より少し大きいその家に
少しキョロキョロと見回す。
「あんまりジロジロ見ないでよ」
そう言いながら1つのドアを開ける。
そこには割と広いリビング、そして奥にはベッドがあった。
「へぇ、ひとつの空間になってるんだ?」
「開き戸だよ」
「なるほどね?」
「彩芽ベッド使いなよ、寝る時」
「えっ?朔は…?」
「俺あっちの部屋にベッドもう1個あるから」
そこにはまた1つのドアがあった。
そっか、そりゃそうだよね…。
そう思っていると彼がクスッと笑う。
「何?もう俺と片時も離れたくないんなら寝るけど?」
「えっ!?」
一気に顔が赤くなる。
ドキドキが止まらない…
「…そうだよな。もう幼なじみじゃないんだもんな」
ドキドキする……
それ以上…
「一緒に寝ようか」
私もうどうなっちゃうんだろう…
episode 『はじめまして』
4/1/2025, 1:54:25 PM