高く高く
高く高く昇って行くんだ。何時までも高い高いしてもらってママに「よしおちゃん」「ぼくちゃん」なんて、まあ呼ぶ方も呼ぶ方なので、そんな親の子はこの親にしてこの子ありの鬼の子なのだ、だいたい高く高く昇って行く人は、人がみな最初子供だったことを知っているので、「子供のままいたいよぉ」なんて狡賢いことは言わないのである。自分より先に生まれ自分より先に歳を取り老いてヨチヨチ歩く子供に返り、やがて記憶さえも朧気になる、自分を産んだ人を守りたいと思うから、いつか自分がしてもらったように。
だから、子供のままでなんかいやしないんだ。
その日暮らしの自由な子供は幸せか?うん?いや、きっと一生涯永遠にそれならきっと寂しいと言おうか寂しいという感受性さえ幸せの何かさえ分からないはずだ、不自由があるから束の間の休日は嬉しく、不自由があるから自由な小さな仕合わせは守られ、その1片に自分がいるということに気づき、守るべきものを自分の力で守り抜いた時、気分は高く高く高揚し生かされている生まれてきた喜びを知るのだろう。
それが大人になるということ。
日がな寝て、遊んで暮らす、それが幸せと思うなら、いつまでも子供のままで親に大人に社会に寄生し続ける、傷つきやすい何時も被害者の子供のままでいるがいい、けれど子供のままでいれば、子供のようにあどけなかった日の気持ちを美しいと思い寄せる感受性も育ちはしないだろう、大人になったからこそ子供時代を懐かしむことが出来るのだから。
高く高く伸びて行け
高く高く昇って行け
呑気者で怠け者で
自称ナイーブで繊細なジャックという少年がいました。
お母さんは貧乏暮らしをしているのに、お構いなしに、呆けていて好きなことだけ自由にやっているジャック、好きなことが出来るのはお母さんのお陰なのに、他の子供比べてうちは貧乏で、ぼくちゃんはやりたいことが出来ないよと文句ばかりを口にしていた。
ある日、不思議なお爺さんがミルクが出なくなった雌牛を売りに行くジャックに話しかけました。お爺さんは奇妙な形をした豆を持っていて、ジャックがそれを欲しがると「不思議な魔法の豆だ」その雌牛となら交換してやろうと言いました。ジャックは不思議な豆が欲しくて欲しくて雌牛と豆を交換してしまいます。
帰宅すると、母親に酷く叱られました、当たり前です、明日食べるお金に換える為に雌牛を売る決心をしたのに、小さな豆ひと粒と息子が交換してしまったのですから。
お母さんに叱られて、悲しくなって
ジャックは、外に豆を捨てたのでした。
すると、あくる朝、豆は巨大な木になって天の雲まで貫いていたのでした。
それを見たお母さんは、驚いて木に登ろうとするジャックを危ないからと止めましたがジャックは、「待ってて、お母さん僕天まで登って行って、何か珍しいものはないか探してくるよ、見つけたら必ず、お母さんのところに帰るから待ってて」ジャックはどんどん高く高く登ってやがてお母さんのいる場所から見えなくなってしまいました、お母さんは心配で心配でハラハラしていましたが、あの臆病で何時までも僕ちゃんのジャックが、自分から進み勇ましく木を登って行く姿に圧倒され見つめていました。
ジャックが木を登ると、雲の上には人喰い巨人が住んでいて、大きな屋敷かありました、丁度巨人は昼寝をしていて、その庭先には金の卵を産む雌鶏がいるのを見つけました、ジャックはその雌鶏を盗み出し、逃げる途中、中庭のあずま屋にある珍しいハープを見つけそれも盗み出そうとしましたが、突然ハープは喋り出し、人喰い巨人は目を覚まし、ジャックを追いかけ回して巨体を揺らし走り出しました。
ジャックは大慌てで木を下りて逃げることに成功し、まだ怠惰な生活で肥えた巨漢の人喰い巨人がモタツイテいるうちにジャックは斧で木を切り倒してしまいました。やっとこ巨漢を揺らし木を下りて来た人喰い巨人は落ちて空に呑み込まれてしまうのでした。
その後、金の卵を産む雌鶏を飼育したジャックは、母親に新しい家を創ったのでした。
人喰い巨人の庭に忍び込み金の卵を産む雌鶏は盗むは、果ては自分を追いかけ回す人喰い巨人を木から落としてしまうジャックなのでした。
その教訓は…
人生を変える勇気を持つ時は、他の大勢がやらないことを、自分を信じて自分の意思に従ってやるが良い、結果の責任は誰を問う必要もないということ。
自分の居場所を自分の意思で決めることが出来て責任も自分で取ることが出来るそれが大人。
高い高いのその後は、自分で自分の意思に従って高く高く登って行くのだ。
令和6年10月14日
心幸
10/14/2024, 12:52:55 PM