眠りにつく前に 永遠に
「愛してる…」
唯斗が永遠の眠りにつく前、掠れた声で言ってくれた言葉に「私も…」と答えるので精一杯だった
彼は私の答えを聞くと安心したように目を閉じ、20年という永遠に長くも短い人生に終止符を打った
葬式も終わり、火葬場で煙が空に登る様子を眺めていると近付いてくる人の気配を感じて振り返るとそこには幼馴染みがいた
「俺はお前を泣かせたあいつを許さない」
「また喧嘩でもするの?」
煙が登る空に向かって宣言する旬を揶揄うように言う
「おう!
今度は負けないからな!」
至極真っ当な顔で言うに思わず吹き出してしまった
「やっと笑ったな…」
微笑む彼にはっとした
唯斗が亡くなってから笑っていなかったことを旬に言われるまで気が付かなかったことに
「これで唯斗も安心するだろ」
「そうだね」
煙が登る空を旬と並んで見上げる
11/2/2024, 10:35:52 AM