特盛りごはん

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 ご飯よ、とお母さんが私達を呼んだ。兄と妹と一緒に元気に返事をしてお母さんの待つテーブルへと駆け寄る。いつも私が一番乗りだ。
 けれどお母さんは私の横を通り過ぎて兄と妹の前にお皿を置いた。良い匂いだけが私に届く。

「ハンバーグだ!」
「やった!」

 嬉しそうな二人の声に微笑んだお母さんがやっと私を見た。ことりと目の前に置かれた皿は二人とは違うもの。いつもそうだ。いつもいつも私だけ二人やお母さん、お父さんとも違う。
 私もそれがいい、とお母さんの服を引っ張った。目の前に置かれた皿を押しやり兄や妹の周りを駆け回って一緒がいいと主張する。

「どうしたどうした」

 遅れてやって来たお父さんが走り回る私を見て目を丸くした。
 そうだ、優しいお父さんなら自分の分を分けてくれるかもしれない。そう考えてお父さんの席に飛び乗った所で慌てた様子のお母さんに抱き上げられた。

「犬にタマネギは駄目なんだってばー!」



/私だけ

7/18/2023, 2:07:19 PM