消えた星図
かきときちう😥
「あ、すごい雨だ」
電話口からぽつりと聞こえた独り言に、心なくふぅんと返した。
「それより次はいつ?」と会話を切り返したのはあまりに愛想がなかったように思う。
11月の連休は2度あるが、彼はいざ繁忙期という具合で祝日も出勤が決まっている。予定を合わせるのであれば有給を取ってもらうことになる。
「今すぐは決められそうにないな」
「じゃあ、もう寝よう、バイバイ」
通話終ボタンを押した途端プツリと何かが切れた。
星は西から南へと何かを携えて渡ってきた。
そして南から西へとまた帰っていくのかと思っていた。
深夜、雨が降ってきた。
それはもうすごい雨だった。
いつもはおやすみ、なのに「バイバイ」で終わったことが悲しくて、眠れずにいる。
雲は空を隠してしまった。
雨はいっそう強く感じる、窓は不定期に揺れる。
さっきまであなたに降った同じ雨が
今まさに私を濡らしているかもしれない。
そう思い立った頃には
もうまどろみの波にさらわれていた。
大きなヘッドホンは枕に当たって不快になった。
白いスマホの画面は音も立てずにヒビを入れた。
水槽越しのキスはただ体温を奪うだけ塗る
10/16/2025, 1:38:56 PM