わをん

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『世界の終わりに君と』

君と一緒に終わりを迎えたかったけど、君はもう嫌だと言って僕の前から去ろうとした。どちらかの願いは叶い、どちらかの願いは叶わない。引き留める力のなかった僕は置き去りにされてテレビをじっと見つめていた。ニュースを伝える人がいないから都会の定点カメラが逃げ惑う人たちを映し出している。犯罪が起こっても泣き叫ぶ人が映し出されても誰も止めない。世界が終わることを誰も止められない。
窓の外にはよく晴れた空。僕の心が虚ろなせいで昨日までの美しさは無くすべて灰色に見えていた。僕の何が悪かったのだろう。世界のどこがいけなかったのだろう。何も悪いと思えていないことが悪いのだと君なら言いそうだった。
僕は君のことが好きで、君も僕のことが好きなのだと思っていた。ズレたカメラは空を映して、映されていない世界が悲鳴と共に終わっていく。世界の終わりに君と一緒にいたかった。僕の願いは最後まで叶わなかった。

6/8/2024, 2:34:19 AM