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未来の記憶

 時間旅行が出来るようになれば、未来の記憶も有り得るだろう。「親殺しのパラドックス」とか「行った先で死んだらどうなる」とかの疑問は、取り敢えず未来に行っている限りは問題ない(ないのか?)。戻ったら、他の人に未来のことを伝えればいいのだ。将来、何パーセントの人が時間旅行を出来るのか分からないけどね。
 でも私は、やはり過去に行きたい。戻って行く私は、どんな風に見えるのか分からないが、とりあえず過去のカッコ悪い失敗を地道にクリアして来たい。
 そのためには、少なくとも初回は「私は未来から来たあなたで、私の記憶では、あなたはこれから失敗するんだけど、しないようにしに来た」と納得してもらわなければいけない。
 頭が堅く、曲がったことが嫌いだったあの頃の私に、それは通じるだろうか?いきなり現れたお婆さんにそんなことを言われても信じられないだろう。推理小説もSFも、好きでよく読んでいたけれど、小説の中のことと現実のことは違う。「未来から来た???」と、まずそこから説得することになる。
 さて、そこに現れた私は、彼女(私)の記憶を全部持っている。未来の記憶が有るワケだ。大衆の面前で転んだとか、変なオトコと付き合ったとか、親にこう言ったらえらく怒られたとか、たいへんな会社に就職したとか、未来の私が随所に現れたら「あ、私、これから失敗するのね」と、落ち込んだり、「あ、また来た!」と、うるさがったりするかも知れない。
 これは初回で、これがいけなかった。あれは止めよう。こんなオトコが接近してくるけどなびくな。〇〇は買うな。高校の屋上で水たまりを飛び越えるな。と、全部(実はまだまだあるが)言えばいいのだろうか?
 それらを聞いても、きっとついやってしまうんだろうな。自分のことだからよく分かる。では、行って言っても無駄なのか!

No.107

2/13/2025, 3:43:09 AM