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[理想のあなた]

「ねぇ、それ何?」

指を指した先に映るのは、最近流行りのキャラクターがプリントされたシャープペンシル。
様々な種類の色と柄が使われていて、シンプルで清潔感のある筆箱の中にあると全体的に派手で異色を放っている。

目の前の親友はノートを書く手を止めて、視線を指先に映した。

「これ?」
「そう、それ」

少し思い出すような仕草をした後、口を開く。

「この前シャーペンが壊れちゃって、お母さんに適当なやつ貰ったの。結構使えるしいいかなって」

なんてことのないような言い方。
そう、彼女にとっては、どうでもいいこと。

「……じゃあ今度、私が買ってあげる。誕生日近かったでしょ?前シンプルで可愛いの見つけたし」
「え、前も消しゴム貰ったばっかなのに?」
「いいのいいの、日頃の感謝だと思って!」

流行りに疎い、私の親友。
私の、大切な親友。

どろりと重たい音が、体の芯から聞こえる。

5/20/2024, 1:30:37 PM