NoName

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零した涙のぶんだけ何かが無くなる気がして、
どうにも上手く泣けなかった。

感情豊かな妹は泣く。笑う。怒る。
その隣で可愛げなんかなくたって、
いつか誰かが見つけてくれる。
そんな気がしていた。

あの日あなたは私を見つけて。
そんな君が好きだよと言ったのに。

相変わらず私は泣くのが下手で、
今だって何かを失わないように
ギュッと唇を噛み締める。

こんな時さえ我慢するから、
あなたは私を好きだったし。
そして、嫌いになったのだ。

3/17/2024, 7:19:51 PM