ゆかぽんたす

Open App

そして、無数の星空の下で王子はお姫様に永遠の愛を誓ったのでした。

めでたしめでたし。



「ほんとに?」
「え?」
「ほんとに、それでおわりなの?」
「そうよ。これで2人は平和に暮らすのよ」
「……ふぅん」
じゃあなんで、このオヒメサマはかなしいカオしてるんだろ。エホンのなかのふたりはみつめあってるけど、あきらかにふたりのヒョウジョウがちがっていた。オウジはカタヒザをついてオヒメサマにバラを1りんさしだしていた。カオはほほえんでいる。なのにオヒメサマは――
「……こまったカオしてる」
わたしのスイリはこうだ。
きっと、オヒメサマはこのオウジのことすきじゃないんだ。べつにすきなヒトがいるんだ。だけどこのオウジとケッコンしなくちゃいけない。おとながきめた、“セイリャクケッコン”ってやつ。
かわいそうに。ほんとにすきなヒトとむすばれたいのに、このオウジでガマンしなくちゃいけないなんて。
「ほら、もう寝なさい」
「はあい」
わたしのへやのマドからもホシのそらがみえる。こんなホシゾラのしたでプロポーズされたらすっごくロマンチックだ。なのに、それでもオヒメサマはよろこべなかったんだな。
「……おほしさまは、かなえてくれなかったのかな」
わたしは“ホシにねがいを”といううたをおもいだした。
かがやくホシにこころのユメをいのればいつかかなうでしょう。
いのればかなうって、うたはいってるのに。
オヒメサマのおいのりがたりなかったのかな。それとも、オウジの“ワルヂエ”のきもちのほうがつよくておほしさまはそっちをかなえてあげたのかな。
「むずかしいなあ」
わたしはそっとエホンをまくらのしたにしまった。
どっちかのねがいがかなうと、どっちかがかなわないなんて。セチガライよのなかよね。

4/6/2024, 8:17:19 AM