何時も何時までも
秋風に君の長い髪なびく。美術館デートの帰り道。黄色く染まった銀杏並木を柔らかな夕陽の光を浴びて歩く姿は、さっき見た彫刻の女神より美しく愛らしく、俺は何度もこの瞬間を『時間よ止まれ』と願わずにはいられなかった。
秋風にすっかり白くなった髪が揺れる。縁側でのんびりと湯呑みを傾ける。赤く染まった庭の紅葉に目を細める姿は、どんな絵画よりも美しく穏やかで、俺は隣に座りながら、何度もこの瞬間を『時間よ止まれ』と願わずにはいられなかった。
「あなた、何をじっと見てるの」
「……いや、何年経っても、何時でも、君は綺麗だなぁ……と見惚れてた」
「……ふふ……ありがとう」
お題「時間よ止まれ」
9/19/2023, 11:39:32 AM