喉元から、なかなか出てこない言葉。
ああ、目の前の君は、今か今かと待っていてくれている。
なのに、意気地なしだ僕は、断られる筈もないのに尻込みしてしまう。
しまいには「私が言いましょうか」なんて、君に言わせてしまった。
それでは駄目だと首を横に振って、何度も何度も深呼吸。
……よし、今から言うぞ、聞き逃さないで聞いておくれよ。
キラキラした君の瞳を見つめながら、大きく口を開いて。
「け、けけ、こっ、こけっこっ!」
生け垣の向こうから「だめだこりゃ」なんてオッサンの声が聞こえた。
テーマ「天気の話なんてどうだっていいんだ、僕がはなしたいことは」
5/31/2023, 12:05:11 PM