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 アメリカの俳優ライアン・オニールの訃報に接し、彼が主演した『バリー・リンドン』という映画を思い出した。18世紀のヨーロッパを舞台に主人公バリーの浮き沈みを描いた大作である。
 借りて観たのがかなり前のことなので細部はあやふやだが、覚えている感想は、長い、映像美、女優の美しさ。

 とにかく主人公に恐ろしく魅力がない。
 見た目先行で人格は難アリだったらしいライアン・オニールをスタンリー・キューブリック監督があえてキャスティングしたのではないかと思うくらいに。

 最も記憶に残っているのが、貴婦人を演じたマリサ・ベレンソンの絵画から抜け出たような美しさ。入浴シーンもあるのだがエロスを超越した造形美に見入った。

 こだわり抜いた映像は素晴らしいが、長いわりに話はとりとめもなく進む。それが人生の儚さを表していると言えなくもない、不思議な余韻が残る映画だった。
(とりとめもない話にこじつけてとりとめもない映画の話をとりとめもなくしてみた)
 

『とりとめもない話』

12/17/2023, 1:06:38 PM