まだ続く物語

図書室の角の方に一冊のノートが置いてある。
最初のページには、
「私と一緒に少し話を書いてくれませんか？」
図書委員の私は、落しものにするか、そのままにするか迷っていた。

考えていた私は、とりあえずノートを眺めている。
そのノートは少し不思議な感じがする。
くすんだ朱色に、少し剥げている金色の飾り模様。
見ているだけでなんだか気になる。
「もしかしたら、物語が書いてるかもしれないよな、、確認、、、そう確認しよう、、」
盗む訳じゃない、そう、これは確認。

つぶやく私は抑えられぬ興味によだれが出てたんじゃないかな？
それくらこの本に惹かれていた。けど、中身は普通のノートで、ちょっとガッカリした。
何も書かれていない綺麗なノート。それは欲を刺激し悪が出た。
名前もないし、誰も見ていない、きっと誰もわからない。
掴まれたノートは、罪悪感と一緒にカバンに入っていった。

翌日、少し歪んだ心と登校した。
「昨日は気づかなかったけど、置いた人ならわかるよな、、、やっぱり今日返そう」
歪んだ心は、キズがつき罪悪感がしみた。
暗いままの心が、晴れないままの昼休み。
そうだ、図書委員の係の時に返そう。
その時の私はバレないか不安の一心だった。

図書室の扉を開けると、僕は周りを見ながら置いてあった場所に向かう。
人目につかないあの場所。けど今日は人がいた。
確か一個上の先輩、、、その先輩はどこか嬉しそうだった。
なんで盗まれたのに、、嬉しs、、、
そっか、物語書くなら持って帰るよな。
単純な回答は数秒の間にはじき出されて、その後すぐに、大きな気持ちに潰されそうだった。

潰れそうな心は、正しさならば戻せるだろうか？
正しさに悪を隠すために。物語を書こう。
そう決意した心は、何を書くか既に考えていた。
謝罪の気持ちから始まったこの物語は、いつの日か大切な気持ちになった。
それは、すぐじゃなかったけど。
ラノベしか読まなかった私は振り絞った語彙力で
「月のない満点の星空の下。私は知った、罪は誰かにとっての夢になるのだと。」

これならいい物語が始まる。
うっすらとクマのある私は、確信し朝のうちにノートを図書室に戻す。
褒められることしか浮かばない、だってあんなに綺麗な文章、それに自分の罪を深夜と物語に隠したのだから。
けど、これって名前もクラスも知らないから、褒められないよな、、、
うわぁ、、せっかくなら褒められたい！

欲に駆られた私は、図書室に向かう。
それが、どんな思いであれ正しかったと思う。
「これ書いたのは君なの？」
互いに名前も知らなかった私達。けど一つだけ確信したことがあった。
「きっと、これが運命だって」

そしてそれは、未来だった。
今でも続いている関係は、あのころと変わらず、
一緒に物語を書く事。
けどそれは、数百数千と積み上げられ。数千万の人に読まれている。
それは今でも夢だと思っている。
けど、一番読んで欲しい相手は横にいるから、それだけでいい。
今でも続く物語はキセキを記す

5/30/2025, 2:02:52 PM