『明日、もし晴れたら』2023.08.01
ツルんでいた仲間たちとわかれて、コイツと二人で帰路につく。
雨音が傘をリズミカルに叩く。こんなに天気が悪いと、ゲーセンに行く気にもならない。
コイツのツンツンした髪もぺたりと寝てしまい、どこか幼さを感じてしまう。
「雨、やだね」
「梅雨はあけたはずなんだけどな」
そんな他愛のない会話をしていると、いつもわかる公園の前まできてしまっていた。
「じゃあね」
「おう」
傘をあげて挨拶をする。ふと思い立ち、こちらに背を向けたアイツの腕を掴んだ。
「明日、晴れたらよ。映画でもいかねぇ?」
我ながらベタな誘い文句だと思う。別に映画でなくても、カラオケやそれこそゲーセンでもいい。
とにかくこの憂鬱な雨を吹き飛ばしたくてそう言うと、コイツは「ふはっ」と笑った。
「いいよ。オレ、今流行りの鳥の映画観たい」
そうねだるコイツに、俺は同意した。
8/1/2023, 12:09:54 PM