族長

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『繊細な花』
地球にたった1輪しかない幻の花がある。
それを目にする人は誰もいない。
なぜなら、その花はとても「繊細」だからだ。
ちょっとでも刺激を加えると枯れてしまう、扱いの難しい花だ。
それなのに、彼はその幻の花をプレゼントしてくれたのだ。
私は驚きのあまり何も口に出せなかった。
彼は「この花を君に送りたくて、頑張ったよ」とだけしか言わない。
そして私は彼に聞いた。
「どうやってその花を手に入れたの?人が触れてしまったら当たり前のように枯れてしまう。それをなぜ、あなたが持ってるの?」
「それは…正直分からないんだ。何故か持てるんだよ」
「そうなの…でも、それは私には送れない。私が持ってしまうと枯れてしまうから」
「そうだよね…じゃ、じゃあ!気持ちだけでも受け取ってくれない?」
「気持ちなら…喜んで受け取るわ」
「本当に!?」
「えぇ、本当よ。ただし」
「ただし?」
「その花ぐらいに人間の心も繊細だから気をつけてね」
「もちろんだよ【その花よりも丁寧に君を愛し続けるよ】」
「楽しみにしてるね。」

6/26/2024, 7:02:38 AM