お題「ひなまつり」
「ママーひなまつりってなーに?」
物心がついてきた私の娘は明日のひなまつりについて興味深々だ
「んーとね、ひなまつりの日はお人形さんを飾ってね、美味しい物をたっくさん食べる日だよ」
「いーなーお人形さん飾りたい!これも飾っていいのー?」
手にリカちゃん人形を持って娘が問いかけてきた。
ひな壇に飾るのは雛人形なのだが、ここは正直に言おうか迷ったが
「うんそーだね、リカちゃんも飾ってあげよっか」
娘も喜んだのでこれでいいだろう
現代は多種多様性なのだ、ひな壇に飾るものに拘る必要もない
私は押し入れにしまってあるだろう雛人形セットを探し始めた
「んーーここにあったような」
押し入れを探してもなかなか見つからない
ひなまつりに雛人形を飾るなんて何年振りだろう
今週は娘と夫と私の実家で週末を過ごすために久しぶりに帰省していた
「全然見つからない、お母さん捨てちゃったかな?」
押し入れは少し埃臭い、何年も放置していたのだろう。
スマホの明かりを頼りに、暗い押し入れに潜って1時間ぐらい探していた。
「あった!」
段ボールの中からは、懐かしい人形がでてきた。
埃は少し被っていたが人形は綺麗だ
「これがお雛様で、こっちがお内裏様だ!」
少し興奮気味な私は雛人形達を眺めながら、暗い押し入れで鼻歌を歌っていた
「〜♪」
「それ知ってる!私も一緒に歌う!〜♪」
押し入れの外から娘が私の真似をして歌ってくる
娘はちゃんと歌詞を付けてるのを不思議に思った。
どこで覚えたのだろう
私は微笑んだ
私も昔お母さんと一緒に雛人形を飾って、一緒に歌を歌ったな
懐かしさが込み上げてきて少し瞳が潤んだが、すぐ切り替えて
「明日は楽しもうね!リカちゃんもいっぱい飾ってあげよう!」
そう娘に伝え
押し入れの中で雛人形セットをまとめながら「うれしいひなまつり」を歌っていた。
完
3/4/2023, 2:18:36 AM