NoName

Open App

落ちていく

ボクは毎日、夢を見る。
その夢は、空を高く飛んでたり、敵っぽい奴と戦ってたり、知らない街を一人で散歩してたり、怖い奴に追いかけられたり、という感じで、いろんな夢を見る。

夢は毎日違くて、
たまに同じ夢を見たり、その夢の続きを見たりする。

だからボクは寝ることが凄く好きだった。
夢を見る度に違う世界で生きる自分を感じれるし、
何より、それがパラレルワールドみたいで、楽しかった。

ボクは眠ったら長く10時間寝るし、
途中で起きることはほぼなく、ずっと眠っている。
その時には必ずと言っていいほど夢を見るし、その夢はボクの好奇心旺盛な心を満たし、ほぼ毎日メモして、その後に見返した時、思い出しながら想像する脳内の世界が楽しくて、毎日冒険してる気分だった。

ボクはよくある漫画やアニメ、ゲームの主人公みたいな者にはなれないから、頭の中ではいつもそういう自分はこの物語の主人公だ!という妄想はしていた。それがボクにとって、毎日の日々が飽きなかったし、目の前の興味のないことをやらされても、頭の中で沢山妄想して想像して楽しんでいた。

そんな夢を見てる時、ボクはたまに落ちる夢を見る。
高い所からもあれば、奈落という穴に落ちる夢。
あるいは逆に相手を落としたりする夢も見る。
落ちるにもいろんな言葉の意味があるけど、ボクはほとんど夢の中でやっていると思う。
ボクは落とし名人かもしれない、そんな名人は嫌だけど。

そして、今日の夢は人に恋する夢だった。
ボクは全く自分とは真逆の可愛くて健気な女の子で、魔法が使える魔法少女みたいな子だったから、ずっと箒に乗って空を飛んでいた。空を飛ぶのはやっぱり楽しい。

その中で、凄く自分好みの双子に恋に落ちる夢だった。
ボクは「こ、好みの双子だ!」という高ぶる気持ちだったから、抵抗もなく、せっかく全く違う世界の主人公になれたんだから、と思い、夢の中を過ごしていた。

その際、双子はどっちの方を好きになるか?という選択肢があって、ボクは流石にそれには凄く凄く凄く、迷った。

宇宙の数ほど選択肢があると思っているボクは本当に凄く悩んだし、悩んで悩んで悩んで結論をやっと言おうと思ったら、目が覚めた。夢か、と少し残念な以上楽しかったな、と思ったボクは、とある事を思う。

ボクはあの二人のどっちを愛して、落ちていく夢だったんだろう?

結局、どっちを選んだか…それは夢の中と一緒に置いてきたから、起きたら忘れていた。まぁ、夢ってそんなものなのだが、かなりの自分好みの双子のどっちを愛すか?という話は正直に言うと、ボクからすれば凄く複雑で、「夢ってそんなもんか〜」と思えない程、あの二人を選択として選びきれなかったのが悔しかった。

どっちの双子に愛されるか?落とされるか?一緒に過ごすか?
空を自由に飛べるように、選択肢も自由にしてほしい。
と、言うか魔法が使えるならもっとそれの楽しいことをしている方が悔いがなかったのにな、なんて毎日楽しい夢を落ちていくように悔しい気持ちが強かった日だった。

愛というのは、夢だからと言って簡単に決められないし、人生をかけるような大切な選択を数秒の夢に見させるのか!という気持ちにもなる、それにそんな簡単に一瞬で相手にキュン、と恋に落ちていくボクもボクだな、と思った。
だって、好みだったんだもの。
流石に好きになります。
ありがとうございます、自分。

夢を見させてくれる自分に感謝しないとな、と思う。
やっぱり、自分が喜ぶものは一番自分が知っている。
それを証明されるのは毎日見る夢だと感じる。
今日も寝た時、また恋に落ちるのかな?
次も全く違う主人公になって、どんな好みの人に出会うのだろう?
また、いろんなパラレルワールドの夢を見たいな。

なんて思いながら、ボクは目を閉じて、眠りについた。

11/23/2024, 2:38:13 PM