【モンシロチョウ】【子供のままで】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
4/22 PM 2:00
「わ、すご~い、咲き乱れてるって
感じだね!」
河川敷を埋め尽くす勢いで咲いている
シロツメクサやハルジオンを見て、
暁が感嘆の声を上げる。
「あ、見て、ちょうちょも
飛んでるよ。春だねぇ」
ハルジオンの側をひらひら舞う
モンシロチョウを指差している、
暁の白いワンピースも
優しく風に揺られていて。
暁自身がまるで蝶々のようだった。
「もうこれはアレだね。
花冠を作るしかないね!」
「作るしかないね、って、
作り方知ってるの?」
「宵ちゃん。ここにスマホっていう
文明の利器があります」
「つまりこれから調べるのね。
いいけど、ここで作るの?
座ったりしたら服が汚れるわよ」
「それなら大丈夫」
暁の服を心配して言うと、
アタシの懸念を払拭するように
真夜(よる)がリュックから
レジャーシートを取り出した。
「なんでそれがこんなこともあろうかと
みたいなノリで出てくるのよ……」
「河川敷は公園と違って、休憩する為の
ベンチとかないだろうと思ったから」
「さすが真夜くん、抜かりない。
よーし、じゃあ早速お花摘もう~!」
言うやいなや、暁はワンピースの裾を
膝上までたくし上げて結びだす。
「……暁、その格好はどうかと」
「アンタは少し恥じらいってものを
持ちなさいよ……」
「えっ、なんか急にダメ出しされた!?」
花を摘むのに裾が邪魔だから
結んじゃおう、という単純な
思考だったんだろうけれど――行動が
子供じみているというか、高校生に
なっても感覚が子供のままというか。
「そんな風にしたら、せっかくの
ガーリー系ファッションが
台無しでしょ。全くもう……」
「花はオレが摘んでくるよ。
宵と暁は、レジャーシートに座って
花冠の作り方調べながら待ってて」
「ええ~?」
「いいからほら」
何がダメなのか分からなそうな顔を
している暁のワンピースの裾を元に
戻して、座るように促す。
(無邪気過ぎるのも考えものね……)
====================
世間は早6月で、数日前に【梅雨】って
お題があった気がしますが、
宵たちはまだ4月を生きてます。
……どうしよう。
6/6/2023, 2:37:03 PM