スキー経験者が上級者コースへ颯爽と飛び立って行く中、私は邪魔にならない建物の隅っこで雪だるま作りをせっせと勤しんでいた。
「めっちゃ増えとるやん」
5つ目の雪だるまを形成し終えた頃、上級者コースを滑っていたはずの親友がゴーグルを外し、ニヤリと笑っていた。私の近くでドカッと胡座をかく。その豪快っぷりにズボンが雪でびしょ濡れにならないか心配になる。
「✕✕✕、もう滑らんの?」
「疲れたからええわ~」
手をヒラヒラと振り、同じ上級者コースを滑っていたグループに離脱宣言をする。後ろ髪を引かれながらも、再びリフトへと向かっていく。
「ほんまに行かんでええの?」
彼女がまだ滑れることを私は知っていた。
「もう、義理果たしたしええやろ。うちはスキーなんていつでも行けるし。あんたとおるほうが大事」
タラシめ。
「スキー滑っとるの、かっこええのに」
「あー?そうゆうて自分雪だるまに夢中で見とらんかったやろ?」
「見とったよ」
親友が滑っているところだけ見て、それ以外は雪玉を捏ねていた。
「しゃーっ言うて雪削りながら滑りよるん、雪が反射してキラキラしとった。上手い人やとあんなキレイなんやね」
「······どっちがタラシなんよ」
首を傾げれば彼女は笑う。
「ゆうてもう時間ないし、大人になったら二人でこよ」
大人になったら。
遠い遠い未来の約束は、私達にとってか細い糸のように不確かで不明瞭だ。それでも。
「下手くそやからって置いてかんとってよ」
「ちゃんと教えたるから大丈夫やって」
私は六つ目の雪だるまを親友の傍に立てた。
12/12/2025, 12:22:03 PM