『透明な羽』
不思議な子だった。
目立たないようにしている佇まいなのに
誰しもが見入ってしまっている。
ただ声をかけようにも飛び去っていく。
周りはどんどん諦めていく中私だけは
逃げられても声をかけて行く日々だ。
そうして私は声をかけるのを諦めた。
ただ他と違って見守るだけにした。
最初は他と同じで声をかけて私のものにしたかった。
けど今は違う。その子をただ見ていたい。
透き通るような宝玉を割れないように遠くから見守るように。
その子は声をかける前より魅力的になった気がした。
語り部シルヴァ
11/8/2025, 10:19:48 AM