この橋を渡れば、新生活が始まる。
背中に夕日を浴びながら、テクテクと歩いていく。
この川を渡ってみたくて、ひとつ手前の駅で降りた。
オレンジ色に反射しているビルディングたちを遠くに眺め、立ち止まった。
橋の真ん中辺りで、大きく息を吸い込む。
桜の香りと排気ガスの臭いが入り交じっていた。
息を吐き出しながら、顔がほころんだ。
再び歩き出す。
さっきよりも大きな歩幅で。
橋の終点には見えないバリアが張り巡らされている。
負けないように、気負わないように
僕は新しい街へと、一歩踏み出した。
#14 『街へ』
1/28/2023, 11:42:07 AM