小絲さなこ

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「離れたからこそ」



「ひとりで立つことが出来なければ、どちらかが倒れた時に共倒れになるぞ」
その忠告に、今は感謝している。

一緒に育った俺たちは、お互い依存していたのだ。


今から思えば、ふたりが離れて暮らしたあの日々は、必要な時間だった。


始まる前、自分たちのした選択なのに辛くて逃げようと思ったこともあった。

たった数年。
長い人生のなかでたった数年だと言い聞かせて、宥めた。



実際には、実りの多い期間だったと思う。
 
同じ目標を持つ仲間たちと出会ったこと。
自分のこれからの人生について深く考える時間を持てたこと。
離れていても君の存在に支えられていることに気がついたこと。
ふたりで過ごす限られた時間の煌めき。


きっと人生を最初からやり直せても、同じ選択をするだろう。


 


────過ぎ去った日々

3/9/2024, 2:47:37 PM