題名 嘘をつくなら正直なところも混ぜろ
突然だが、今俺は姉貴に尋問されている。事の発端は姉貴が買ってきたプリンを俺が間違って食べてたことから始まった。姉貴は失くなったプリンの残骸を見て俺が犯人だと疑っている。
俺は姉貴の疑いの言葉に知らんぷりを続けた。食べた犯人は俺だ、だが姉の言葉に、けして頷いてはいけない。何故なら俺は姉貴に殺されるからだ。
姉貴は食にめがない荒くれ者。そんな姉貴にもし、俺が食べただなんてばれてしまったら、確実に俺はお陀仏になる。
それだけは何としてでも回避しない…!
そう思い、俺は言い訳を必死に探す。
「…で、ほんっとうに食べていないの?」
姉貴は疑惑の目で俺を見て言う。
まずい、姉貴は俺を疑っている。どうにかしてバレないようにしないと。……あっ、そう言えば…嘘をつくときには少し正直な事も言った方が信憑性が上がるとかなんとか、聞いたことがあるな。
「し、知らねえよ!俺が冷蔵庫見たとき、限定プリンなんてなかったし…!母さんが間違って食べたんじゃないか?」
よしっ、正直混じりに嘘をつけた。これでしばらくは大丈夫だろう。そう思って安心した矢先である、
「ふぅーん、そうなんだ。じゃあなんで私が買ったのは”限定プリン“だってわかるの??」
姉貴は張り付いた笑顔でこちらを睨んだ。それで俺は自分の過ちに気づく。
正直が混じった嘘は信憑性を高くすけど、それには言ってはいけないことがあるのだな、と当たり前のことに気づけなかった俺は自分自身を哀れんだ。だが姉貴はそんな俺に同情なんかせず、俺の右頬に拳を振り上げた。
6/2/2024, 12:27:27 PM