朝、おはようと言う。朝が苦手な君は寝ぼけながらもおはようとふにゃふにゃした顔で返してくれた。
昼、お疲れ様と君からメッセージが送られてくる。お疲れ様とメッセージを返した。
夜、電気を消しながらおやすみと言う。寝付きが良い君は既に目がとろんとしていて、朝と同じようにふにゃふにゃした顔でおやすみと返してくれる。
そんな毎日を繰り返す。
何もない、ただの習慣。
それが特別な事だと理解したのは、君が目の前から消えてしまってからだった。
朝、おはようと言う。
昼、お疲れ様とメッセージを送る。
夜、おやすみと言う。
自ら発した言葉も文章も空気に紛れ霧散する。誰にも届く事のない、行く当てのない音はただ虚しく響く。
美しい花々に囲まれ額縁の中で微笑む君は、笑うだろうか。あの頃のように返してくれるだろうか。
3/23/2023, 1:33:41 PM