薄墨

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どんなに酷い現実でも向き合えるのに、
子どもを庇った誰かの果てだけは、
直視できないあなたが好き。

私よりずっと心が強いのに、
救えなかったものをしっかり覚えていて、
ときどき眠れなくなっているあなたが好き。

ムカつく理不尽なことがあっても、
事情があっただろうから、なんて言って、
怒ることすらできないあなたが好き。

私よりずっと冷静で、正義だって振りかざせるのに、
そんな資格は自分にはない、と言い切って、
ずっと変わらずあなたのままのあなたが好き。

私たちを遠巻きに見て、あなたを嫌っていた
同級生さえも許していて、
仕返しどころか見返すってことすら口にしないあなたが好き。

私の言動を訝しみながら、
それでも優しさゆえに私を突き放せなくて、
結局、一緒にいてくれるあなたが好き。

いつもどこか諦めていて、冷めたようで、
記念日なんて覚えてないような顔をしているのに、
誕生日プレゼントは毎年忘れないあなたが好き。

誰よりも深くて大きな愛を持っているくせに、
誰より人間に寛大で、大きな愛を持っているくせに、
私の分かりやすくアピールしている愛には気づけない、鈍感なあなたが好き。

きっと、あなたは一生分からないのだろうね。
「big love!」と叫ぶ周囲の人たちのことも。
私のやっていることも、気持ちも。

でも私はそれでもいいの。
それでも好きだわ。
あなたの思う通りに、生きてほしいの。

だから、私の誕生日まで、
あなたの好きなものをご馳走させてね。

4/22/2025, 10:10:55 PM